ダメージが少ないカラーは本当にある?真実と誤解をプロがわかりやすく解説
「髪に優しいカラーがあります」「ダメージレスで染められます」
美容室やSNSでよく見る言葉ですが、本当に“ダメージが少ないカラー”は存在するのでしょうか?
結論からいうと、ダメージを“ゼロ”にするカラー剤は存在しません。
しかし、ダメージを最小限に抑えたり、従来よりも傷みにくいカラーは確かにあります。
このコラムでは、その“真実”と“誤解”をプロ目線で整理します。
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- そもそも、ヘアカラーで髪はなぜ傷む?
ヘアカラーのダメージの正体は大きく2つ。
① キューティクルを開く工程
カラー剤は髪内部に色を入れるために、アルカリ剤でキューティクルを開きます。
これにより手触りが変わったり、質感の低下が起こります。
② 酸化・分解によるタンパク質の損失
明るくするためにメラニンを壊す工程で、髪内部(コルテックス)の構造が乱れます。
つまり、色を変える以上、多少のダメージは避けられない仕組みなのです。
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- “ダメージが少ないカラー”と呼ばれるものの正体
最近は多くのメーカーが“低ダメージ”をうたうカラー剤を発売しています。
その多くは、以下の技術によってダメージを従来より抑えているのが特徴。
① 低アルカリカラー
アルカリ量を減らし、不要にキューティクルを開かないタイプ。
・白髪染め
・トーンダウン
などに向いており、ダメージは比較的少ない。
② 酸性カラー(酸性染毛料)
アルカリを使わず、髪表面に色を吸着させるタイプ。
有名な例:
・酸性カラー
・カラートリートメント
・酸性のマニキュア
髪をほとんど傷めないが、明るくはできないという性質。
③ ケアカラー(プレックス系カラー)
ジマレイン酸・コハク酸など、髪の結合を補強しながら染める技術。
・イルミナカラー
・アディクシー × プレックス
などが代表。
傷む工程はあるものの、“壊れた部分を補強しながら染める”ため、仕上がりの質感が高い。
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- “ダメージゼロ”と誤解されがちなもの
以下は「ノンダメージ」と思っている方が多いですが、実は誤解です。
● ブリーチなしの高明度カラー
「ブリーチなしで明るくなる=傷まない」
これは誤解。
ブリーチほどではありませんが、明るくする時点でメラニンは分解されるためダメージは発生します。
● オイルカラー(〇〇オイルカラー)
髪にオイルが配合されているため、
・手触りが良くなる
・ツヤが出る
など“ケアしたように見える”だけで、ダメージ自体がゼロになるわけではありません。
● トリートメントしながら染めるカラー
これも同様で、
“染める工程でのダメージはあるが、同時にケアをして質感を整える”
というものです。
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- 最もダメージが少ない染め方は?
目的別に“もっとも髪を傷めない選択”は以下の通りです。
● とにかく傷ませたくない → 酸性カラー(マニキュア・カラートリートメント)
◎ ほとんど傷まない
× 明るさは変えられない
× 色持ちが弱いこともある
● 色も楽しみたい・明るくもしたい → 低アルカリカラー + ケア剤併用
・プレックス
・酸熱成分
・内部補強トリートメント
を併用することで、“ダメージを最小限に抑えつつカラーを楽しむ”ことが可能。
● ハイトーンや透明感を出したい → ブリーチ+ケアブリーチ
ブリーチは必ず傷むが、
・ファイバープレックス
・ケアブリーチ
などにより、従来より格段にダメージを抑えることができる。
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- まとめ|大事なのは“カラー剤よりも施術設計”
実は、ダメージを左右するのは 薬剤そのものよりも“使い方”。
✔ 放置時間
✔ アルカリ量の調整
✔ 前処理・中間処理
✔ 仕上げのケア
✔ カラー頻度のコントロール
✔ 根元はアルカリ・毛先は酸性などの“塗り分け”
これらを適切に行えば、想像以上に髪を守りながらカラーができます。
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【結論】“ダメージが少ないカラー”は存在するが、“ゼロ”はない
ただし、薬剤の進化により
・従来より傷みにくい
・質感を保ちながら染められる
・目的に合わせてダメージをコントロールできる
という時代になっています。
目的と髪質に合わせて、“最適なダメージコントロール”を提案できる美容師に相談することが、最も髪を守る近道です。